2022年4月9日(土)、さいたまスーパーアリーナ。あの"GGG"と、村田諒太が拳を交える。歯がたたないかもしれないが、あのときのようなシーンも見られるかもしれないワクワクドキドキの時――
下里 淳一
Junichi Shimozato
ワクワクドキドキの時がやってくる。チケットもべらぼうに高いがそれだけの値打ちはある。行けるなら行きたい。現地観戦がなによりだ。
茶の間や机上のほうがよく見えるし解説も聞けるし繰り返し見られるし、くつろいだカッコウで好きな飲食もできるから重宝で、なにより時間とお金がよけいにかからない。
だけど全然違う、現地と茶の間は。
何が違うって、世界が違う、次元が違うって言うしかない。女を口説いてどうにかなるか誰かの恋物語を聞くかくらいの違い、おれはどっちも好きだけど。
現地なら、たとえ遠目でも、自分の目の前をゲンナジー・ゴロフキンが行く、村田諒太が過ぎる。
自分の目の前の日本のリングに怪物が立っている。誰がこんなことを信じただろう。それだけで村田は賞賛に値する。
そりゃGGGには歯がたたないかもしれない。あっさり終わってしまうかもしれない。が、右一閃、王者ジェフ・チャンドラーをロープまで吹っ飛ばした、1981年4月5日の村田英次郎のファーストラウンドもある。
今回は時間もお金も都合つかず、花盛りに悔しさかかえてワクワクドキドキの時を待つしかない。
だけど、だから、教えておくれ、さいたまスーパーアリーナがどんなだったか。
2022.04.05
Photo : H.Inoue
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