石の拳とモンスター

最終更新: 3月31日

押しも押されもせぬ日本ボクシング界の第一人者。そう自他ともに認める井上尚弥が、2月11日の《LEGEND》で比嘉大吾を圧倒、存在感を示したパンチの一つ、右アッパーの連打に、ある想像をした――

井上 博雅

Hiromasa Inoue


「趣味は右アッパー」

 2月11日に行われたエキシビジョン《LEGEND》―――


 3年連続4度目、2020年の最優秀選手に輝いた井上尚弥が、比嘉大吾を軽快に圧倒した。


 3ラウンドに放った右アッパー3連打などを見て…その約1カ月前、1月12日の深夜に放送された『石橋、薪を焚べる』のラストでかわされた、「趣味は右アッパー」のやりとりを思い出し、多少は意識してたかなと想像した。


 このとき「右アッパー」ときいて思い浮かべたのは、「石の拳」ロベルト・デュランとエステバン・デ・ヘススのラバーマッチ。アッパー? のような角度と軌道で放たれたパンチで、デュランがヘススを倒したシーン。

※この試合を最後に無敵状態だったライト級からウェートを上げ、ウェルター級のシュガー・レイ・レナードを破って2階級制覇を達成し、 "FOUR Kings" の端緒を開くのは、約2年半後だ。


 デュラン本人はアッパーを打っている感覚があったかどうかはわからないけど、自分の中では「アッパー」で(笑)、だから今回こんなこと書いている。


異空間パンチ

 ヘススはなんとか立ち上がったものの、デュランの猛追撃をしのぐ力は残っておらず、ほどなく試合は決着した。


 1978年1月21日、ラスベガス。KOタイムは12ラウンド2分32秒だった。


 そのシーンは、この動画の37分10秒頃。「アッパー」といっていいのかどうか説明しにくい軌道、空間から飛んできているパンチだ。


 Twitterでも一度ボソボソ言ったが、まだ右アッパーで倒したことはないモンスターも、この先こんな異次元パンチで倒すシーンが見られたらエキサイティング。1990年代、軽量級初の100万ドルファイターとなったマイケル・カルバハルが"小さな石の拳"と言われたけど、井上にもその称号がハマる…最近そんなふうに見えている。


 昨年10月末のラスベガスでの前戦から、はや3カ月。モンスターは次にいつ、どこで、誰と対戦するのか。世界中を混乱に陥れているコロナの影響はまだまだ収束しそうはなく、プロスポーツ興行開催の難易度は高いままだけど…


 早く決まって、またドキドキワクワクしたい。

2021.03.01


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