「甲子園」中止…

高校野球史上初めて、甲子園球場で開催される全国大会が春夏つづけて中止されることが決まった。本当にやれないのか、方法はあるんじゃないのかとの声も聞かれるけど、諸事情を考えればしかたなかろう…

井上 博雅

Hiromasa Inoue


春夏連続で

 春のセンバツにつづいて夏の甲子園(と、49の代表校を決める地方大会)も、中止が決まった。


 予想できたこととはいえ、正式に発表されると喪失感、残念感がさらに増す。


甲子園の土、今年は持ち帰れず…

 見えないウイルスの脅威にさらされ続け、もういいだろと思いたいし、誰よりも球児たちがいちばんショックを受けているのももちろん理解できるけど、まだ感染拡大の可能性や不安がぬぐいきれない以上、やっぱりそうせざるを得ないよな、と考えるしかない。


 甲子園での本大会にしろ、都道府県大会にしろ、いざ開催するとなると、「そんなことまで?」というような、これまで気にする必要すらなかったことにまであれやこれや準備が必要になったり、そのための人員を割いたりすること(密をつくり出すこと)も起こるだろう。1日複数試合、今までやってこなかったイレギュラーなことが起こることを何日も続けるって、ものすごく大変だろうと想像できる。


 そしてもし感染者が出てしまったら、その選手なり関係者なりだけを隔離すればいいというわけにいかなくなるし、宿泊施設などの大会後の営業にも支障をきたしてしまう。いろいろな"もしも"が同時多発する可能性を考えたら、中止もやむなし、だろう。


「やれたよな」とボヤける日がくれば

 ほんとにやれないのか、なんとかできるんじゃないのか、無観客含め開催できる方法を模索したのか…等々、報道やSNS上の投稿、コメントには、今回の決定に疑問を持った内容が多いように見受けられた。


 もちろん残念だし、やれなくはないんじゃないかと思わなくもないけど、同時に、この先もう感染者が増える可能性は限りなくゼロに近いことが前提(?)の論調に違和感を覚えた自分は、悲観しすぎなのか。


 中止決定を残念と思えているのは、野球をしたり見たりする健康や生活基盤をキープできている、ある意味幸運な人(各自の辛抱・努力のたまものでもあるけど)。家族や友人知人に感染してしまった人がいて苦しみ、不幸なことに亡くなる人も、なんてことを見聞きし経験した人だって中にはいるだろうと想像すると、やりたかった、参加させたかったと言ってばかりいられないだろう、とも思う。


 緊急事態宣言解除も近づいて、「元」に戻す活動にシフトすべき時期なのだとはいえ、全国から一都市に多くの人やモノを集合させるイベントの開催は、まだ…とするほうがベターだろう。


 何が正解なのかは、わからない。すべての人が賛成し納得する策も、たぶんない。


 終息に向かっている雰囲気と同時に、またひと波乱ありそうな一抹の不安も感じるここ数日。「これだったらやれたよな」と後々ボヤけるようになるくらい、今はキレイに終息する日が来ることを祈るばかりだ。

2020.05.25

Photo : H.Inoue


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