"こんな夜に野茂英雄"を読む――

最終更新: 9月10日

野茂英雄。1968年生まれの同学年で、B型という血液型も…同じなのはそこだけなのだけど、大きな影響を受けたスター選手だ。彼がメジャーへ渡ってから25年、特集された『Number』を読む。

井上 博雅

Hiromasa Inoue


あれから25年

 1995(平成7)年、前年に近鉄バファローズを退団した野茂英雄が、移籍したロサンゼルス・ドジャースでも大活躍しつづける姿に、自分も大いに感化された一人だった。


Number 1009(文藝春秋)

 僕は英語を覚えにアメリカに行くわけじゃない。


 Number 1009号の「野茂ストレート語録」にも出ているが、英語で不自由するであろうことを心配する声に対しサラッと答えたと聞いた当時、そりゃそうだと思って笑った。注目され、ときに大バッシングもされながら我が道を突き進んだ同学年の男に、ただただ「すごいなァ…」と感心したことと一緒に思い出す。


 メジャー、アメリカを実感するという意味で衝撃的だったことについて聞かれて、「コーヒーがどこででも飲めたこと」と答える力みのなさにもまたちょっと笑い、共感した。


 学年と血液型以外にも、コーヒーが好きという共通点がもう一つあるとわかり、なんとなくうれしくもなった。ボクシングも含め取材で何度か渡米したときに出入りしたメディアルームにもサーバーが置かれていて、ほぼ"ご自由にどうぞ"だったことをうれしく、ありがたく思ったものだった。


ちょっと残る悔い

 オールスターにも選出され先発登板、奪三振王に新人王のタイトルも獲り、ドジャース(NL)とボストン・レッドソックス(AL)、両リーグでのノーヒットノーラン達成もあった。ホームランも打ったし、勝てなかったけどポストシーズンでも投げた…


 それ以前にマッシー村上がサンフランシスコ・ジャイアンツでプレーした実績もあったけど、エポックメイキングといえるのは、やはり野茂だ。


 25年前の、野茂による"リードオフ"がなかったら――


 イチローが達成した数々の偉業も、松井秀喜がワールドシリーズMVPに輝くことも、そのワールドシリーズで上原浩治が胴上げ投手になることも、ダルビッシュ有や田中将大、前田健太に大谷翔平ら現役組の活躍も、あったかどうかわからない。自分も、編集の仕事をするようになったり、その後いろいろありはしたけど、こんな夜にブツブツ言っていられたかどうかもわからない。


 それほど影響を受け、何度もアメリカへは行ったのに…《野茂世代》の末端にいる者として残念なのは、彼の登板試合をライブ観戦する機会が一度もなかったことか。

2020.09.09


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