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佐々木朗希の“81球”

千葉ロッテ・佐々木朗希が成し遂げた完全試合は、19奪三振の記録など、完全試合にはならなかったとしても、その支配的投球は目を見張るものだった。 note にもアップしたけど、こっちにも…

井上 博雅

Hiromasa Inoue


理想への最接近

 すべてのバッターを初球(1球)で打ち取り計27球で抑えきるのと、すべて3球三振に切って取り計81球で圧倒するのと、どちらが理想か。そういう問いをピッチャーにすることがあるけれど…これまでで最も《81球》に近づいた、そんな快投でもあっただろうか。


ZOZO MARINE STADIUM, 2021

 2022年4月10日(日)、ZOZOマリンスタジアム。千葉ロッテでプロ3年目を迎えている佐々木朗希が、ヒットや四死球はもちろんエラーによる出塁さえも許さない、完全試合を達成した。20歳5カ月は、完全試合では史上最年少だ。


 相手は昨年のパ・リーグ覇者オリックス。いうまでもなく"超あっぱれ"な、史上16人目の快挙で、プラス――


 Max164km/h、初回2アウトから5回終了まで、日本新となる13連続を含む毎回の19奪三振(これは日本タイ)等々、スゴいインパクトまで与える離れ業も同時にやってのける、記録づくめの快投だった。


 三振以外のアウトは、セカンドゴロ×2、ファーストゴロ×1、サードゴロ×1、ショートゴロ×1、キャッチャーファウルフライ×1、センターフライ×1、ライトフライ×1…と、打球が外野まで飛んだのさえ2度だけという圧倒ぶり。


 さらに、この偉業をリードしたキャッチャーが、佐々木よりもさらに若い高校卒のドラ1ルーキー・松川虎生だったことにもまた、驚かされる。


いずれもう一度…!?

 ノーヒットノーランでは奪三振も多い場合があるものの、完全試合では、それほど多くないという印象を持っていたとおり…



 過去の完全試合達成者15人のうち金田正一(国鉄/1957年8月21日)の10、そして外木場義郎(広島/1968年9月14日)の16。2ケタ奪三振は、この2例だけだった。


 金田も外木場も完全試合は1度ながら、別にノーヒットノーランも達成している。


 今回の佐々木の「20歳5カ月」は完全試合の最年少記録だが、ノーヒットノーランの最年少記録は、のちに400勝するカネやんの18歳1カ月(!)。そして外木場は、ノーヒットノーランを2度(完全試合を合わせ、計3度!)もやってのけている強者で、プロ初勝利が最初の"ノーノー"だったという、カープレジェンドの一人だ。


◇     ◇     ◇


 それにしても…の佐々木朗希。1試合最多奪三振記録、あるいは(ノーヒッターや)完全試合。こんな、どちらかだけでもめったに達成されないスゴいことを、両方同時に成し遂げられるなんてシーン、この先あるだろうか。


 自分が生きてるうちにもう一度あるとしたら、やってのける選手がいるとしたら…やっぱりまた佐々木か、なんてことをブツブツつぶやいている。

[文中敬称略]

2022.04.16

Photo : H.Inoue


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