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宿敵交錯 90s&70s

更新日:2021年3月31日

マイク・タイソン、モハメド・アリという世界ヘビー級史上の象徴的な二人。全盛時に長期ブランクを余儀なくされたという共通点、ライバルたちとの闘いにおける相違点などを、振り返ってみる。

井上 博雅

Hiromasa Inoue


ああタイソン…

 前回にならって、1990年代と70年代のヘビー級を復習。  タイソン・フューリーがデオンテイ・ワイルダーとの再戦を制した一戦のセレモニーで、イベンダー・ホリフィールド、レノックス・ルイスとともにリングに上がり、大声援を受けた男、マイク・タイソン――  彼らの現役時代、圧倒的存在感で"センター"にいたのは、間違いなくこのタイソンだったけれども、ホリフィールドやルイスとの対戦が実現するタイミングは、決していいものではなかったか。  タイソンがものすごい勢いでスターダムに駆け上がった80年代後半は、まだ勝負できるようなポジションにおらず。1990年2月、東京ドームでバスター・ダグラスに敗れ、そのダグラスからタイトルを奪ったホリフィールドと91年11月に対戦することが決まるも、キャンセル…

圧倒的な存在感で中心にいたのはタイソンだったが…

 ケガ、その他にもいろいろあって収監。誰でもないタイソン自身のせいとはいえ、25歳になっていた1991年秋からの4年のブランクは、やはりイタかった。


"ついに"実現した一戦、勝者はホリフィールド…

 この間、ホリフィールドとリディック・ボウによるアツい「三部作」もあった(ボウはホリフィールド戦のみ)。


 現役復帰したジョージ・フォアマンもタイトルを狙うポジションに近づいていたりで、それなりに盛り上がりはしたものの、いてほしいやつがいない、物足りなさがあった。

 タイソンがやらかすことなく、貴重な4年を失っていなければ、もっと闘い合う機会があったろうし、1勝もできなかったなんてこともなかっただろう。  勝負らしい勝負ができたのは、96年11月、Finally……やっと実現したホリフィールドとの初戦あたりまでか。


 そのホリフィールド戦は期待どおり白熱したけれど、タイソンにとってモアベターな時期は過ぎていて、7カ月後に組まれたリターンマッチは"BITE of the EAR"などと揶揄されるような、前代未聞の醜悪な内容と結果になってしまった。


 ルイス戦で感じたのは痛々しさばかりだった。


CHAMPIONS FOREVER

 理由はまったく違うが、同じ年齢期に長いブランクをつくった偉大なヘビー級チャンピオンという点で共通しているのが、モハメド・アリ。


 シュガー・レイ・レナードらの"Fabulous FOUR"同様、ジョー・フレージャー、ジョージ・フォアマン、ケン・ノートン(一応ラリー・ホームズも…)と闘い、こちらは堂々"首位"だ。


ホームズ戦は余計だったが…"The Greatest"アリが首位

 アリはフレージャーとの元祖《世紀の一戦》、アゴを割られたノートン戦には敗れたが、どちらも再戦で雪辱し、ラバーマッチも制し勝ち越している。


 フレージャーとノートンは、アリを攻略した初戦しか"勝ち点"はないが、どちらも強いインパクトを残した。


 アリにしてみれば――ここでの黒星がなければ、フレージャーとはあったかもしれないが、ノートンとの2戦目3戦目が行われることはおそらくなく、こういう表に示すようなストーリー展開を生む余地もなかったと想像できる。

 こうして振り返れば、アリに敗れた一戦と、フレージャーとノートンには完勝したフォアマンの威圧感が、いちばん印象深いといえるか。10年のブランクを経て復帰してきたときは正直に言って失笑し、再び戴冠することになるなんて、恥ずかしながらまったく想像できなかったけど…



 その昔発売されたビデオ『CHAMPIONS FOREVER(チャンピオン伝説)』にも出ていたのでリストに入れてみたけれど、ホームズがこの中に入っていたのには今も違和感を覚えている。

2020.04.08


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