以前は"Fabulous Four"、最近は"Four Kings"というネーミングで語られている、1980年代の《黄金の中量級》。WOWOWで、この4強を特集するシリーズが始まっている。
井上 博雅
Hiromasa Inoue
「石の拳」登場
WOWOW開局30周年記念、《黄金の中量級》特集 が始まっている。
さながらリーグ戦のごとく…と形容されるように闘い合った、1980年代の《Four Kings》――マービン・ハグラー、シュガー・レイ・レナード、トーマス・ハーンズ、ロベルト・デュラン――をめぐる10年あまりの攻防。4人の直接対決主要ファイトと、この4強にからんできた「第二集団」的強豪との対戦もよみがえる、素晴らしい特集だ。
先週9日の"Part 1"では、1980年代に入る少し前の79年11月に行われたウィルフレド・ベニテスとレナードの一戦、中心的存在となっていくレナードの初戴冠試合がオンエアされた。
きのう16日にオンエアされた"Part 2"では、デュランが登場。
80年6月、カナダ・モントリオール。無敵を誇ったライト級から2階級も上げてきて、レナードが持つWBCウェルター級タイトルを奪取した、「石の拳」のハイライトといえる一戦だ。
2ラウンドにレナードをグラつかせた左などワイルドなパンチと手数、自分のペースに引きずり込んだファイトぶり、そして15ラウンド終了ゴングが鳴りお互いに両手をあげたとき「オレが勝ったに決まってんだろ!」とばかりにレナードへ食ってかかる、デュラン――
スコアカードが集計され…結果を読み上げようと手元のメモを見るリングアナウンサーの背後から"カンニング"をしようとする、デュランのチーフトレーナー、レイ・アーセル etc. etc. ――リアルタイムじゃなかったとはいえ、ビデオで何度も見たことで覚えているシーンのほか、初めて気づいたこともあった。
レフェリーはフィリピンのカルロス・パディーリャだったか(たしか翌年の「サルバドール・サンチェス×ウィルフレド・ゴメス」戦も、この人だったっけか)――
リングロープの赤青と白のツートン、いいなァ(3本ロープだったっけ…)。そのロープの赤と白の境目あたりに映る客席に、アレクシス・アルゲリョらしき口ヒゲをたくわえた男がいた――と、今まで気づいていなかったことに気づいたり、思い出したりできた。
Four Kings Plus
昨年春、一足早く? このライバル関係について触れたとき――
対戦(星取)表を作成。
闘ったのは1度だけだったり、2度3度顔を合わせたり。組み合わせによってそれぞれなので、文字通り「リーグ戦」ではないんだけど、4強のうちハグラー以外の3人にからんでいるベニテスもプラスしてみた。
で、サッカーのリーグ戦を参考に勝利=3、引き分け=1で「勝ち点(Pts.)」順に並べ、今回の特集で放送される分を太字にしてみたのが、以下の表。
今回放送されたレナードとの初戦が、デュランがこのシリーズでゲットした唯一の「勝ち点3」だった…
来週23日の"Part 3"は、ベストファイトに推すファンも数多い、レナードとトーマス・ハーンズによるウェルター級チャンピオン同士の頂上対決(81年9月)と、ハグラーvsデュラン戦(83年11月)だ。
その翌週30日の"Part 4"は、さらに濃厚。ハーンズ×デュラン、ハグラー×ハーンズ&ムガビ。そしていまも判定への意見と評価が分かれるレナード×ハグラー戦――と、ハグラーが君臨するミドル級へ集まり、4強の形成に向かっていった時期の試合だ。
日本時間12日に行われた《ワシル・ロマチェンコ×リチャード・コミー》、そして14日に行われた《井上尚弥×アラン・ディパエン》、総集編などのレギュラー放送ももちろん楽しめる、ちょっとうれしい年末年始だ。
2021.12.17
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